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《 ぜんりんしゃの本棚から 》


最上 一平 著、 宮本 忠夫 絵
「ぬくい山のきつね」 新日本出版社
蝉林舎の本棚から 5



 例によって まず出版社の紹介文を。
《おトラ婆さんのところへ死んだはずの夫が現れます。鼻の下に銀色のひげ。きつねです。話し相手を得たおトラ婆さんのつかの間の幸せを描く表題作ほか、過疎の村を舞台に、日々をていねいに生きる人々のたくましさ・ユーモアをたくみに描く。》

 以前紹介した「広野の馬」と同様 上質の短編集だ。前作が 子供を主人公にした筋書きだったのに対して、この本の主人公は皆 お年寄り。それだけに内容もさらに深く、落ち着いた「珠玉の短編集」と言える。ただし、子供が読む分には 人によって大きな差がでるかもしれない。日頃 アニメやライトノベル漬けで もっぱら引っ張られて感情移入「させられている」子ほど、自ら進んで感情移入「すること」は大変だろう・・・・。一篇一篇じっくりと読ませて 深読みのきっかけをつかませるには 格好の本だ。

 ところで表題作の「ぬくい山のきつね」。 はて、主人公は誰だったのだろう。




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