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《 ぜんりんしゃ カレント コラム 》


中総体が終わっても(読書について1)



 学校差について たびたび こんな質問を受ける。「どこの小学校であれ、卒業する時は ほとんど子供の学力に差はないと思われるのに、中学校を出るまでの3年間で なぜこんなに差がつくのでしょう?」
 教科書にも授業のレベルにも、中学校ごと さほど差があるようには思えない。学校差については、通常は無難に「時間などの生活管理には いろいろ違いがある様ですよ」とだけ答えるようにしていた。でも本当は・・・・・

 中総体が終わっても 近隣の中学校では 連日(連夜!)18時半前後まで部活動が続く。(以下、近年の 各校の予定表のデータをもとにしている。)
そんな中で やはり近隣に こんな中学もある。そもそも「部活動」ではなく「サークル」と称して、それも平均すると週に2.5日。完全下校時刻は、県大会出場者以外は16時45分。サークルのない日は15時25分。14時半という日さえある。もちろん その分 特別に「ガリ勉」をさせている様子はないし、中総体の成績もほかの中学と変わらない。
 ところがここに、他校と 際立って違う点が二つある。その一つは、内面的な成長に不可欠な 《本を読んだりして一人で考えることが出来る自由な時間》 と 《静かな環境》 が 最初から奪われていないということだ。小学校で培った素養をもって、そのまま 中学校のスタートに立てるということだ。(もちろん、スタートするかどうかは 周りの大人たちも含めて個々の状況次第だが。)

 長年 塾をやっていて 毎年と言ってよいほど出くわすのは、せっかく小学6年生まで丁寧に丁寧に育ててきた子供の知性が、中学入学後の1,2ヶ月で それこそボロボロに壊れてしまうというケースだ。連日の団体行動で運動神経など外向きの神経を使い切り 疲労困憊で夕方遅く帰宅する子供にとって、さらにそのあと 今度は 内向きの神経を働かせることなど不可能に近い。あとは更に宿題というノルマに縛られるか、テレビを見て終わりというのが実態だろう。入学してしまえば他校の様子は分からないから そのまま3年間続くことになる。

 何のことはない、要するに運動過剰なのだ。将来の肉体労働への準備(!)だとしても なぜここまで要求されるのか。試しに「今週何回運動しましたか。何冊本をよみましたか。」と聞いてみると良い。ひょっとすると7対0になるかもしれない。期間を 今月・今学期・今年 と伸ばせば、それは とんでもなく大きな比になるだろう。内面的な世界を創るスタートどころではない。生活時間が充分に配慮・管理されていなければ どんどん精神的な成長の可能性が奪われてしまう。
 どこの県の例か失念したが、中学一年生は、一学期はゆっくり新生活に慣れさせ、夏休み後から 徐々に部活動に参加させる中学校もあるそうだ。これだけでも 実に子供の成長に配慮した大人の指導だと思われる。

 もちろん一年生に限ったことではないし、重要な問題とはいえ そのうちに一つに過ぎない。ただ、部活動について取り上げると、 「やり過ぎだ」と指摘しただけでも 様々なタブーや 《忍耐力の育成》などといった浅薄な常識にぶつかるので 誤解なく書くのはとても難しい。でも、本当に子どものことを考えれば避けては通れないだろう。「部活動といっても 昔と今とでは全く違う」 とだけ言って、この続きは またいつか詳しく・・・・。

 さて蝉林舎の一年生、一学期 しっかり考えて結果を出したから 夏休みはたっぷり読書に使える。良い本をたくさん読もう。まず読み方のコツを覚える大切な授業から!

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