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《 ぜんりんしゃ カレント コラム 》


新聞チラシ雑感


    《人物像は「プライバシー」!》

 もう大分昔のことなので書いても良いだろう。
 以前から 無駄を省いて授業料を安く抑えようと工夫してきた。色とりどりの高価な(大手塾の)チラシを横目に、まる一日がかりでモノクロ印刷機を動かしてチラシを刷り上げ、手押し車で新聞店に運び込んでいた。絵も写真もない 黒文字だけの広告だが、内容文は一生懸命考えた。中身を読んで共感した ある新聞店(毎日新聞)から「配布料はいらないよ」と言われたこともある。

 そんなある日、チラシ作成会社のセールスマンが来た。
(今は こんなことは無いだろうが・・・。) まず一声。 「先生、お母さん連中は文章なんて読みませんよ。」
 まだパソコンがそれほど便利ではなかった時代、カバンの中から 様々な絵や写真の部品サンプルを取り出し、貼り付けながら たちどころに綺麗な見本を作ってゆく。春 満開の桜のカット。凛々(りり)しく目を見開いた生徒たちの写真部品。手をあげて答えようとする 溌溂(はつらつ)とした生徒の写真部品・・・みな 出来合いのモデル写真だ。見事な キャッチフレーズのタイトル文字。 極めつけはこうだ 「先生、合格率は何パーセントって書きます? 100や 99じゃ不自然だから 95ぐらいにしておきましょうか。」 出来上がった見本チラシは 一面まるで実体のない「イメージ操作」だ! 広告とはイメージくらべなのか、と あきれて帰ってもらった。

 モデルではなく 実際の生徒の写真だとしても、逆にそれは「個人情報」に当たらないだろうか?  これも昔の話だが、勤めている大手塾の生徒募集チラシに自分の授業姿を掲載された講師が、怒って退職し 蝉林舎に鞍替えして来たことがあった。 教える側の講師でさえ これほどのハラスメントを感ずることになるのだ。

 いずれにしても チラシに塾の方針などを表現しようとすれば、必然的に(写真に限らず 学校での順位・点数や 入試での合否も含め)生徒や卒業生の個人情報に踏み込む可能性が出てくる。でも それは避けなければならないし、それを出汁(だし)に使うのは 到底 大人のする事ではないと思う。「親御さんの同意があればよいのではないか」と話が進めば、さらにもっと深い問題に突き当たってしまう・・・。

 もっとも、チラシを読む方(ほう)の理性や判断力も いろいろ試されている訳だが・・・・。


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