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《 ぜんりんしゃ カレント コラム 》


画面で育つと


◎ 上は、蝉林舎 2021年10月の広告から(一部加筆)


 「ゲーム脳の恐怖」、「スマホ脳の恐怖」といった本がたくさん出ているので 関心のある方も多いだろう。でもこれは、ゲームやスマホで勉強時間が減るといった単純な問題ではない。簡単に言えば、中毒で頭脳(!)や性格が退化して行くということだ。大袈裟な言葉のようだが 現実は深刻だ。さらに、上に挙げたような本の中で 何気なく素通りしがちなのが、例えば「ビジュアル脳」という言葉。実は これはもっと基本的な「テレビ脳」「IT画面脳」のことだ。

 これらの本(研究)は データに基づいているのがほとんどだが、いわゆるエビデンスとしてはとらえきれない主観的な「認識」や「了解」といった教育の分野では、そのようなデータより さらに深刻だ。


 このサイトの「初版のトップページ」でも指摘したとおり、長年 定点観測のように十代の子供の思考を扱っていると、それこそ 如実に と言ってよいほどの変化がみられる。勉強の内容も ピーク時に比べて少なくとも1年分ぐらいは減っているか 平易化されている。その都度「ゆとり教育」云々と話題にはなるが、5年ごと 10年ごとといったスパンで見ると、そのたびに悲観的にならざるを得ない。
 もちろん勉強内容が難しければ良いということではなく、そもそも子供が受けつけなくなっているということなのだ。
 表面的な偏差値という相対評価に目を奪われ、絶対的な低下は気づかれない。

 学力や思考力の低下については、このコラムの他の記事や、「ほんとの勉強」をご覧頂きたい。


 例えば漫画。
 かつては 「こら、漫画ばかり読むな!」 と叱られたものだが、いまや それよりはるかに進化した「アニメ動画」や「実況動画」の時代だ。
 紙の漫画や絵本は、動かない絵に (自分の頭の中で、自分が)色や 動きや 声色=こわいろ=を与えて、生きたイメージを創り出しつつ 能動的に読み進めることが出来る。
 ところがアニメ動画では 自分は何もしなくてよい。まったく何もせずに、高度に意匠が集積された画面からイメージが飛び込んで来る。出来合いの「素晴らしい感動」が飛び込んで来る。イメージを作り出す頭の働きは不要だ。画面が(コンテンツが)引っ張ってくれるので 自分から動き・求める必要がない。習慣になれば性格が変わる。誰かや何かに引っ張られないと(指示されないと)動けなくなる。自ら進んで考え勉強することがなくなる。つまり、どんどん受動的になってゆく。
 画面の表面に視点を留めさえすれば、あとはそのつど振り向く必要もなく、眼球を動かす必要も、目の毛様筋がピント合わせをする必要もない。文字通りあらゆる認識機能が退化しそうだ。

 特に子供にとって、IT画面無しで本を読むということ、紙の文字を読むことがどれほど創造的で貴重な活動か。と同時にテレビを中心とする 便利極まりない画面文化が どれ程人間の頭を退化させるか、ご自分で思索できる人はこの続きを考えてみるとよい。それこそ次から次へと思い当たる節が見当たるだろう・・・。


 ちなみに蝉林舎では、かつてのパソコンの名機(!)「PC-9801」 によるコンピューター勉強を、1995年ごろを境に完全にやめた。そのときに実感した パソコン勉強の無意味さと、IT画面漬けの恐さはいずれ「ほんとの勉強」のコーナーなどに書く予定。



◎ 「ほんとの勉強」に、
  この記事に関連するページがあります。
  クリック→ 「分かりやすさの落とし穴」
    (このサイト内のリンクです。)

(続きは近日公開します)


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