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ほ ん と の 勉 強(PC版 )

 17、ゼミの本質と 「先生ごっこ」

 料理の世界では 作る人も食べる人も「おいしさ」を求めます。
 勉強の世界では 教える人も学ぶ人も「分かりやすさ」を求めます。
 そっくりですが、おいしかった・分かりやすかった で終りではありません。

 食べた人の中では、次は身体(からだ)創りのスタート。 おいしかった食べ物のたんぱく質が そのまま人間の身体になるわけではありません。たくさんのアミノ酸に分解し、また新しいアミノ酸に創り変え、それをもとに 今度は自分の身体や酵素など総てを創って行くのです。もはや もとの牛や豚のたんぱく質ではありません。他人事(ひとごと・よそもの)ではなくなっているのです。
 分かりやすさも、(ゴールと勘違いする人がほとんどですが)同じようにスタートに過ぎません。

 ではどうすれば身につくのでしょうか。牛が 食べたものをまた口に戻すように、復習すればよいのでしょうか。きっと また おいしいかもしれません。でも スタートをくり返しても同じこと。勉強では さらに大切な 次の段階が待っています。

 吸収した分から ただちに次のプロセス 「自分自身への創り変え」をはじめること。「わかりやすい他人の説明」を聞いたら 今度は「もっと分かりやすい自分の説明」を 絶えず創って行くこと。受け手の立場から 自分創りの立場へ アレンジし直して行くことです。 復習の問題集も、自分で言葉を工夫して 分かりやすく説明しながら解き進めると 何倍もの効率で定着して行きます。もちろんこれは(声を聞かれるのは恥ずかしいので)誰もいない 自分の楽屋=勉強部屋で しかできません。 (前章、前々章 参照)

 自分の説明(自分の授業)に創り変える習慣 が身についてくれば しめたもの。 だんだん、先生が 説明の上手・下手くらべの競争相手になります。言葉の充実したゼミで、できるだけ表現力のある先生に教えてもらうこと。そして しっかり顔を上げて対話して、言葉の一つ一つまで盗み取って(=記憶して)自分の勉強部屋へ持ち帰ればよいのです。これがゼミの本質。 勉強は、受動性の逆の 能動性・自立性そのものです。
 本当の勉強の入り口は「先生ごっこ」。 いつまでも「生徒ごっこ」に迷い込んでいるから 他人なしでは進めなくなってしまうのです。
 「分かりやすさ」は、創り手(先生ごっこ)の立場に立ってみると とびきり貴重な意味をもつ言葉です。 


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