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《 ぜんりんしゃの本棚から 》


最上 一平 著、 高田 三郎 絵
「広野の馬」 新日本出版社
蝉林舎の本棚から 3



まず表紙うらに載っている案内文を引用する。

《馬を愛し、谷あいに一人でくらす老人と少年との心の通い合いをとらえた表題作ほか、「最期のほたる」「たぬきてんまつ記」など、めぐりくる季節の中で、人と出会い、喜びや悲しみを知り育つ子どもを美しく描く。》

 この作者の場合、生命力溢れる子供の姿を描いた物語を先に紹介したいところだが、この本は 上に載せた案内文にあるような 静かな雰囲気の短編集だ。土地に根差した現実感は確かで、ストーリーに引きずられる心配も無い。文章が上手で 大人が先に吸い寄せられてしまう。例えば巻頭の12ページの短編の、最初の見開き2ページ、いやもっと短く 初めの1段落だけでも 読み方を教える材料になる。挿絵も秀逸。

 それにもうひとつ、この人の本は 方言(山形)がとりわけ大切なのだが、子供には まだその重要性が分からない。ところがこの本はその方言が少なめなので 子供は ひとまずそれを気にせずに読める。読み方を実地に学ぶ上では 格好の入門書というわけだ。 (その、「方言の重要性」と「読み方の極意(!)」 については いずれ別に投稿するので、それまでは自分の読みで・・・・・。)



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