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ほ ん と の 勉 強(PC版 )

 9、ゆ と り 教 育 、−1− 


 一軒 また一軒 と建物が壊されると、かつての街並みと生活が人々の記憶から消えて行き、たちまちのうちに 誰も気がつく人がいなくなります。

 中学の教科書から とうとう不等式の総てが消え去り、「動き」の表現を勉強する大切な関数も、その実 大半が消え去り、未知数も変数も 今の子には区別がつかなくなりました。原点に固定された放物線で「変化の割合」を いくら ほじくっても「動き」をつかむことは出来ないのです。

 子供たちは 空中に 次々に形を変えて飛んでくる外野フライを追ううちに、ボールの放物線を「動き」として体得し 野球遊びが やみつきになって行きます。 数学でも、解くたびに 白いノートに 略図として 繰り返し 様々に描き加えて行く鉛筆の黒い軌跡として「放物線の動き」を体得し 関数が得意になって行くのです。(至れり尽くせりの書き込み教材にいたっては、極端な場合 その1本すら描くことがありません。)
 せっかくの グラフの曲線も、ちょうど お相撲の丸い土俵のように 外枠を示す脇役に押しやられ、その中で扱われるのは もっぱら 小学算数をごちゃまぜにしたような「三角形の面積比べ」。「めんどくさい」という理由で二元のみに限定された連立方程式の勉強は まるでピコピコゲームのルール学習のようです。

 本来は勉強に無用な競争を削ぎ落し、いかに《ゆとり》を持って考えさせて行くか に心を砕くべき教育者が、こともあろうに肝心かなめの「中身」を削って行くというこの愚かさ !
 目的をもって為される これらの平易化は 今後も 子供から 中身の濃さ と 内容の深さ を奪い続けてゆくことでしょう。

 誰も気がつく人はいません。
 このままでよいはずはないのですが・・・・・。


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